ハイヤーへの転職で後悔する人が見落としていること|デメリットより気づきにくい「メリットの裏側」
はじめに
「ハイヤーに転職したら、今より楽になるはず」
今の仕事に疲れているとき、そう思いながら求人を眺めている方もいるのではないでしょうか。
待機時間が多く、1日に接するお客様は少ない。
売上のノルマもない。
調べるほど、今のつらさから離れられる仕事に見えてくると思います。
私も同じでした。
飲食業で人間関係や忙しさに疲れ切っていたころ、一人で過ごす時間が多いハイヤーの働き方に強くひかれました。
結論からお伝えすると、ハイヤーへの転職で後悔する人が見落としているのは、デメリットそのものよりも「自分が欲しかったメリットの裏側」だと私は考えています。
待機が長いことや勤務時間が不規則なことは、少し調べれば出てきます。
それでも入社後に「こんなはずじゃなかった」と感じるのは、その情報を自分の毎日に当てはめて想像できていなかったからではないでしょうか。
私はこれまで専属を2社、請負を2社経験し、今も請負で働いています。
この記事では、ハイヤーに転職して後悔しやすい人がどこを見落としているのか、入社前にどう考えておけばいいのかをお話しします。
ハイヤードライバーに多い退職理由は別の記事でまとめているので、今回はその一歩手前の「なぜ入社前に気づけないのか」に絞って書いていきます。
※働き方や勤務の決まり方は、会社や担当先によって異なります。この記事の内容は、私が経験した範囲をもとにしています。
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後悔は「知らなかったこと」より「想像していなかったこと」から生まれる

ハイヤーのデメリットは、調べれば見つかる
今はハイヤーの仕事について調べると、待機時間の長さ、帰る時間が読めないこと、給料の仕組みなど、大変な部分もかなり出てきます。
つまり後悔する人の多くは、デメリットをまったく知らずに入社しているわけではないと思います。
「待機は長いらしい」「勤務時間は不規則らしい」と、一度は目にしている。
それでも入社後にギャップを感じるのは、知識として知っていることと、それが自分の毎日にどう響くかを想像できていることの間に距離があるからです。
メリットは具体的に、デメリットはぼんやり想像してしまう
例えば「待機中は動画を見たり本を読んだりできる」と聞くと、静かな車内でくつろぐ自分の姿が浮かびます。
一方で「出発時刻が分からないまま、建物の入口が見える場所で3時間待つ」場面は、なかなか具体的には浮かびません。
人が出てくるたびにお客様かと目が向き、お手洗いに行くタイミングにも迷う。
実際の待機には、そういう時間もあります。
なぜメリットばかり具体的に想像してしまうのか。
転職を考えるときは、今の仕事のつらさが基準になっているからだと思います。
今つらいことが「ない」部分には目が行きやすい一方で、今は経験していない種類の負担は、想像する材料がありません。
新しい仕事を「今のつらさがない場所」として見てしまうと、そこにある別の負担が見えにくくなるのです。
「自分の場合はどうか」に置き換えると見え方が変わる
デメリットを読んだときは、「大変そう」で止めずに「それは自分の生活でいうと、どの場面にあたるか」まで考えてみてください。
「帰る時間が読めない」なら、平日の夜に入れている習い事や通院の予定は続けられるのか。
「待機が長い」なら、何もしない時間が2時間続いたとき、自分はどう感じそうか。
このひと手間をかけるだけで、ただの情報が自分の判断材料に変わります。
▼ハイヤードライバーに多い退職理由と辞めやすい人の特徴は、こちらの記事で詳しく書いています▼
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見落としやすいのは「欲しかったメリットの裏側」

ハイヤーに惹かれる理由として多いのは、「一人で働ける」「人と接する数が少ない」「ノルマがない」「待機が多い」といった点だと思います。
どれも実際にある魅力です。
私がこの仕事を続けている理由も、多くはここにあります。
ただ、その魅力にはそれぞれ裏側があります。
しかもその裏側は、デメリットとして別に存在しているのではなく、メリットと同じところから生まれています。
だからこそ、メリットに惹かれて入った人ほど気づきにくいのです。
「一人で働ける」の裏側は、その場で相談できる人がいないこと
専属や請負では、お客様の予定に合わせて一人で動く時間が長くなります。
特に請負は契約先へ直行直帰するので、同僚や営業所の職員と顔を合わせる機会がぐっと減ります。
人付き合いで気疲れしやすい私には、これがありがたい環境でした。
その一方で、困ったときに隣で「どうしましょう」と聞ける相手はいません。
予定の変更に気づく、車の状態を確認する、判断に迷ったら自分から営業所へ連絡を入れる。
こうしたことを一人で抱える範囲が広がります。
前の職場で、周りに聞きながら仕事を進めることで安心できていた人は、一人の時間が増えることが「気楽さ」ではなく「心細さ」として出てくるかもしれません。
「人と接する数が少ない」の裏側は、一人のお客様との相性が毎日に響くこと
ハイヤーは1日に接するお客様の数が少ない仕事です。
私の経験では、車庫番でも実際にお乗せするのは3組前後という日が多くありました。
次々と人に対応する疲れは、たしかに減ります。
ただ専属や請負になると、決まったお客様を毎日担当します。
相性の良いお客様なら働きやすくなる反面、合わないと感じるお客様なら、その負担が毎日続きます。
接する人の数が減る代わりに、一人ひとりとの関係が濃くなる。
人間関係の負担がなくなるというより、形が変わると考えておいた方が実態に近いと思います。
なお、どうしても合わない場合は営業所に相談して担当を外してもらうこともできます。
我慢し続けるしかない仕事ではありません。
「ノルマがない」の裏側は、自分の工夫で収入を増やしにくいこと
ハイヤーは会社から仕事が割り当てられるので、自分でお客様を探したり、売上の数字に追われたりすることはありません。
数字に追われる仕事に疲れていた人にとって、これは大きな違いです。
その裏側として、頑張った分だけ仕事を増やすこともできません。
収入を大きく左右するのは、車庫番なら会社全体の予約の量、専属や請負なら担当するお客様がどれだけ動くかです。
自分の努力とは関係のないところで収入が上下することを「気が楽」と感じるか、「もどかしい」と感じるか。
同じ仕組みでも、受け止め方は人によって大きく変わります。
「待機が多い」の裏側は、自分の時間を自分で決められないこと
運転している時間より待っている時間のほうが長い日は、珍しくありません。
ただ、待機が多いことと、自分の時間が多いことは同じではありません。
会議が延びれば待機も延び、会食が長引けば帰りも遅くなります。
どれだけ手際よく準備をしても、お客様の用事が終わるまでは帰れません。
忙しさに疲れていた人が本当に求めていたのは、「ゆっくり働くこと」ではなく「自分の時間を取り戻すこと」だったかもしれません。
もしそうなら、待機の多さはその答えにならない場合があります。
この負担の正体については、予定が読めないことの疲れとして別の記事でも詳しく書いています。
ここまでの4つを、どんな人が裏側を重く感じやすいかと合わせて整理すると、次のようになります。
| 期待していたこと | その裏側 | 裏側が気になりやすい人 | 気になりにくい人 |
|---|---|---|---|
| 一人で働ける | 困ったときにその場で相談できない | 周りに聞きながら進めると安心できる | 自分で確認して報告するのが苦にならない |
| 接する人の数が少ない | 一人のお客様との相性が毎日に響く | 苦手な相手とは距離を置くことで乗り切ってきた | 一人の相手に合わせて関係を作るのが得意 |
| ノルマがない | 自分の工夫で収入を増やしにくい | 頑張りが数字に表れるとやる気が出る | 収入の上下を仕組みとして受け止められる |
| 待機が多い | 自分の時間を自分で決められない | 仕事のあとの予定をきっちり組みたい | 終わる時間に幅があっても困らない |
※私の経験をもとにした整理で、すべての人や職場に当てはまるものではありません。
右の列に当てはまらなくても、すぐに向いていないと決める必要はありません。大切なのは、自分がどちらの列に近いかを入社前に一度考えておくことです。
「何に疲れていたのか」が曖昧なままだと、疲れの種類が変わるだけになる

同じ「人間関係に疲れた」でも、中身は人によって違う
ハイヤーを目指す理由として「人間関係に疲れた」はよく聞きます。私もそうでした。
ただ、この言葉の中身は人によってかなり違います。例えば次のような違いです。
- 大勢の人と次々に接することに疲れた
- 特定の上司や同僚と毎日顔を合わせることに疲れた
- 職場で周りの目や評価を気にし続けることに疲れた
ハイヤーで軽くなりやすいのは、一つ目です。
1日に接する人の数そのものが少ないからです。
三つ目も、営業所を通らない請負なら軽くなる可能性があります。
注意したいのは二つ目です。
専属や請負では、毎日同じお客様と向き合います。
相手が上司からお客様に変わるだけで、「決まった一人と毎日向き合う」という形は残ります。
「人間関係に疲れたからハイヤーへ」という考え方自体は間違っていません。
ただ、何に疲れていたのかを具体的にしておかないと、入社してから同じ種類の疲れに出会うことがあります。
ケースで考える:ハイヤーで楽になるのはどちら?
※以下は実在の人物ではなく、一般化した例です。
Aさんは前職の接客業で、1日に何十人ものお客様に対応し続けることに疲れていました。
Bさんは前職の事務職で、細かく指示を出す上司と毎日隣の席で働くことに疲れていました。
どちらも「人間関係に疲れた」と言いますが、ハイヤーで感じる変化は違うはずです。
Aさんは接する人数が大きく減るので、楽になったと感じやすいと思います。
ただ、同じお客様を長く担当するようになると、今度は一人の相手に気を配り続ける疲れが出てきます。
Bさんは、毎回お客様が変わる車庫番の時期は、気持ちが軽いかもしれません。
ところが専属になり、運転や車内の環境について細かい要望の多いお客様を担当すると、前職と似た緊張が戻ってくる可能性があります。
反対に、相性の良いお客様を担当すれば、前職よりずっと働きやすくなることも十分にあります。
つまり楽になるかどうかは、ハイヤーという仕事だけで決まるのではありません。
前の仕事で何に疲れていたかと、入社後の働き方や担当先の組み合わせで決まってきます。
私の場合:軽くなった疲れと、新しく向き合うことになった疲れ
私は前職の飲食業で、人間関係と忙しさに疲れ切っていました。
ハイヤーに来て、その負担はかなり軽くなりました。
待機中に一人で過ごせる時間は、今でもありがたいと感じています。
今は請負で働いていて、営業所の人間関係に気を使う場面が少ない分、専属のときより気楽だと感じています。
ただ、まったく疲れなくなったわけではありません。
お客様を乗せる責任があり、予定に振り回される日もあります。
請負では近くに相談できる相手がいない分、自分で判断して報告する責任もあります。
それでも続けられているのは、前職の疲れより今の疲れのほうが、私にとって受け止めやすい種類だったからだと思います。
楽な仕事を見つけたというより、自分が受け止めやすい疲れ方の仕事を見つけた。
今振り返ると、そういう感覚に近いです。
▼専属と請負で日々の気疲れがどう違うかは、こちらの記事で詳しく書いています▼
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よく紹介されるのは、担当が決まったあとの働き方
ハイヤーの仕事を調べていると、決まった役員の方を朝お迎えして、夜にご自宅へお送りする1日の例をよく見かけます。
ただ、未経験で入社した場合、最初から決まったお客様を担当することは基本的にはありません。
会社が受けた予約をその都度担当する車庫番から始まり、専属や請負は空きが出たときなどに会社から打診される形で決まるのが一般的です。
「入社したら、すぐに決まったお客様を担当できる」と思っていると、車庫番の期間が長く感じられ、それ自体が「思っていたのと違う」につながります。
反対に、車庫番の時期だけを見て「ハイヤーはこういう仕事だ」と結論を出すのも早いかもしれません。
働き方が変われば、1日の流れも疲れ方も変わるからです。
最初の時期は、仕事そのものより「覚えること」で疲れる
入社して間もない時期は、運転以外にも覚えることがたくさんあります。
お客様を乗せたときの揺れの少ない運転、建物ごとの車寄せの位置、都内の道。
私も入社当時は都内の土地勘がほとんどなく、走りながら少しずつ覚えていきました。
また、前職である程度の立場にあった人ほど、教わる側に戻ることに戸惑うかもしれません。
仕事を教えてくれる先輩が自分より年下ということもあります。
特に50代から未経験で入社する場合は、この切り替えが一つの山になると思います。
この時期のしんどさは、慣れとともに軽くなる部分が大きいものです。
入社直後のしんどさを、そのまま「この仕事全体のしんどさ」と受け取らないことが大切です。
「慣れれば変わるつらさ」と「条件が変わらない限り続くつらさ」
とはいえ、何でも「慣れれば大丈夫」で片づけるつもりはありません。
私が辞めたいと思ったのは、なかなか専属や請負に定着できず収入が安定しなかった時期と、泊まり勤務などで家族との折り合いをつけるのに苦労したときでした。
こうしたつらさは、時間が経てば自然に解決するとは限りません。
担当先や勤務の条件が変わらない限り続くものです。
後悔を深くしないためには、今感じているつらさがどちらから来ているのかを見ておくことだと思います。
道や運転にまだ慣れていないことによるつらさなら、もう少し続けることで変わる可能性があります。
収入の見通しや家庭との両立など、条件から来ているつらさなら、我慢を続けるより会社に相談したり働き方を見直したりする方が早いこともあります。
後悔しにくい人が、入社前に考えていること

ここまでの内容を踏まえて、転職前に考えておきたいことを3つにまとめます。
「減る負担」と「代わりに増える負担」をセットで書き出す
今の仕事でつらいことを書き出したら、その横に、ハイヤーで代わりに増えそうな負担も書いてみてください。
- 人と次々に接するのがつらい → 一人のお客様と長く向き合うことになる
- 数字に追われるのがつらい → 頑張っても収入が増えにくい
- 帰りが遅い日が続くのがつらい → 帰る時間を自分では決められない
右側を読んで「それなら受け止められる」と思えるかどうか。
メリットだけで判断しないための、一番手軽な方法だと思います。
もし右側に「これは無理かもしれない」と感じるものがあれば、それは入社前に確認しておくべきポイントが見つかったということです。
家族と「帰る時間が読めない生活」を一度話しておく
ハイヤーの勤務時間は、自分ではなくお客様の予定で決まります。
早朝の送迎もあれば、会食が長引いて帰りが遅くなる日もあり、終電を過ぎれば営業所に泊まることもあります。
この影響を受けるのは自分だけではありません。
夕食を一緒に食べられるか、家の用事を誰が担うかなど、家族の生活にも関わってきます。
転職を決める前に、「帰る時間が読めない日がある」という前提で、家族と一度話しておいてください。
私自身、家族との折り合いに苦労した経験があるので、ここは特に伝えておきたいところです。
合わなかったときに「何を変えられるか」を知っておく
後悔が深くなるのは、合わないと感じたときに「もう辞めるしかない」と思い込んでしまうときです。
ハイヤーでは同じ会社の中でも、車庫番・専属・請負で予定の決まり方も人との距離も変わります。
合わないお客様なら担当の変更を相談できますし、毎日泊まりが続くような担当は打診の段階で断ることもできます。
もちろん、すべての希望が通るわけではありません。担当先の空きや会社の判断にも左右されます。
それでも「この仕事が合わない」のか「今の条件が合わない」のかを見極められれば、辞める前に打てる手が見えてきます。
入社前の段階でも、面接などで「担当が合わなかったときはどうなるのか」を聞いておくと、入社後の見通しを立てやすくなります。
▼収入の不安や家族との両立で辞めたくなったときの考え方は、こちらの記事で詳しく書いています▼
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ハイヤードライバーを辞めたい人へ|収入の不安と家族との両立を考える
まとめ|後悔しないために必要なのは「自分に当てはめること」
ハイヤーへの転職で後悔する人が見落としやすいのは、デメリットそのものより、自分が欲しかったメリットの裏側です。
- 一人で働けるぶん、その場で相談できる相手は少なくなる
- 接する人が少ないぶん、一人のお客様との相性が毎日に響く
- ノルマがないぶん、自分の工夫で収入を増やしにくい
- 待機が多いぶん、自分の時間を自分で決めにくい
転職を判断するときは、次の3つを自分に問いかけてみてください。
- 前の仕事で、自分は具体的に何に疲れていたのか
- ハイヤーで減る負担と代わりに増える負担を比べて、増える方を受け止められそうか
- 合わなかったとき、辞める前に何を変えられそうか
私は前の仕事で疲れ切ってハイヤーに転職し、今もこの仕事を続けています。
ただそれは、ハイヤーが誰にとっても楽な仕事だからではなく、ここでの疲れ方が自分に合っていたからだと思っています。
「今のつらさから離れたい」という気持ちは、転職を考えるきっかけとして自然なものです。
そのうえで、離れた先にある負担まで一度想像してから決めてもらえたら、転職後の後悔はぐっと減るはずです。
向き不向きをもう少し整理したい方は、ハイヤードライバーに向いている人・向いていない人の特徴もあわせて参考にしてみてください。
動画でもハイヤーについて解説しています
YouTubeでは、ハイヤードライバーの仕事内容や働き方を、図やスライドを使って初心者向けに解説しています。
読んでもまだ迷っている方へ
ハイヤードライバーの仕事内容を理解しても、「実際に自分が向いているか」はなかなか判断しにくいものです。
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