ハイタク業界はなぜ慢性的な人手不足なのか?7つの理由とハイヤーの実情
はじめに
「ハイヤーやタクシーの会社はいつも求人を出している気がする」
「そんなに人手不足なのは、働く環境に問題があるから?」
ハイタク業界への転職を考えたとき、このような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
ハイヤー・タクシー業界の人手不足にはドライバーの高齢化や勤務条件だけでなく、業界に対する世間のイメージや、仕事内容が十分に知られていないことも関係していると考えられます。
ただし人手不足だからといってすべての会社が働きにくいわけではありません。
また同じハイタク業界でもタクシーとハイヤーでは事情が異なります。
この記事ではハイタク業界が慢性的な人手不足になりやすい7つの理由と、ハイヤーならではの実情、転職前に確認したいポイントを解説します。
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ハイタク業界の人手不足は複数の問題が重なっている

ハイタク業界の人手不足は、「求人を出しても応募が来ない」という問題だけではありません。
新しい人が入社しても同じ時期に退職する人がいれば現場の人数は増えません。
さらに未経験者が仕事を覚え、一人で乗務できるようになるまでには時間がかかります。
厚生労働省の公開事例でも高齢化や新型コロナの影響で退職者が相次ぎ車両の稼働率が下がったタクシー会社の状況が紹介されています。
つまり応募してもらうこと、仕事を覚えてもらうこと、長く続けてもらうことのすべてが必要なのです。
なお人手不足の程度は地域・会社・時間帯によって異なります。
業界全体の課題とそれぞれの会社の事情は分けて考える必要があります。
ハイタク業界が慢性的な人手不足になりやすい7つの理由

ドライバーの高齢化が進み世代交代が必要になっている
人手不足の背景の一つがドライバーの高齢化です。
長年働いてきた人も年齢や体力、家庭の事情によって勤務を減らしたり退職したりする時期を迎えます。
その人数を補うだけの新人が入社しなければ現場の人手は減っていきます。
実際に厚生労働省が紹介する事業者の事例でも高齢化に伴う退職と人材確保の難しさが課題に挙げられています。
年齢を重ねても経験を生かせることはこの仕事の魅力です。
しかしベテランに頼り続けるだけでは将来の人員を確保できません。
経験者が働き続けられる環境と、新しい世代が入りやすい環境の両方が必要になります。
業界に対する世間のイメージが応募の壁になる
ハイタク業界には仕事内容を詳しく知らない段階から否定的な印象を持たれてしまう面もあります。
例えば次のような先入観です。
- 給料が低く、長時間働かなければならない
- 接客や運転が荒い人がいそう
- 他に仕事がない人が選ぶ職業なのではないか
- 若い人が将来を考えて就く仕事ではなさそう
- 交通事故のリスクが怖い
これらは業界全体の実態を示すものではありません。
ただこうした見方に触れて「興味はあるけれど、家族や知人にどう思われるだろう」と応募をためらう人もいると考えられます。
また一部のドライバーの接客や運転で嫌な思いをした経験が業界全体への印象につながることもあるでしょう。
ハイヤーとタクシーの違いを知らない人からは両者が同じイメージで見られる場合もあります。
もちろん実際に改善すべき勤務環境や接客上の問題まで、すべて「偏見」で片づけることはできません。
「仕事内容を知ってもらう前に、業界のイメージで候補から外されてしまう。」
これは採用を難しくする一因になり得ます。
※世間の評価や採用への影響には個人差があり、ここでは人手不足を考えるうえでの要因として整理しています。
勤務時間が生活に合わず働ける人が限られる
仕事内容に興味があっても勤務時間が生活に合わなければ転職には踏み切れません。
タクシーには日勤・夜勤・隔日勤務などがあり、ハイヤーも担当する仕事によって早朝出勤や夜遅い退勤が発生します。
子育てや介護をしている人、家族との時間を大切にしたい人にとっては給与と同じくらい勤務時間が重要です。
特にハイヤーでは運転時間が短くてもお客様の予定に合わせた待機によって一日の拘束が長くなることがあります。
「ずっと運転しているわけではない」ことと、「早く帰れる」ことは別です。
こうした働き方を好む人もいますが、毎日決まった時間に帰る必要がある人には難しい面もあります。
勤務の選択肢が少なければ、その分だけ応募できる人も限られます。
給与の仕組みがわかりにくく収入への不安がある
転職する際「実際に毎月いくらもらえるのか」は大きな関心事です。
タクシーでは売上が給与に反映される仕組みが多く、未経験者は「お客様を見つけられなかったら生活できないのでは」と不安を感じることがあります。
ハイヤーも基本給・乗務手当・時間外手当などの組み合わせは会社によって異なります。
求人に高い月収例が掲載されていても、それだけでは次のことがわかりません。
- どのくらい働いた場合の金額なのか
- 未経験者でも同じように稼げるのか
- 給与保証が終わった後はどうなるのか
- 配属や担当業務によってどの程度収入が変わるのか
収入の見通しが立たなければ、家計を支えている人ほど慎重になります。
安全運転と接客の両方が求められ責任が重い
ハイタクの仕事は車の運転ができればそれだけで務まるわけではありません。
お客様を安全に目的地へお送りしながら乗り心地や接客にも気を配る必要があります。
渋滞で到着が遅れそうなときも焦って運転することはできません。
お客様から要望や苦情があれば、落ち着いて対応する必要があります。
ハイヤーでは服装や言葉遣い、ドアサービス、時間管理、お客様の情報を外に漏らさない配慮なども求められます。
そのため仕事内容を知って「自分には難しそう」と感じる人もいるでしょう。
もちろん最初からすべてできる必要はありません。
しかし運転の楽しさだけでなく、人を乗せて働く責任もある仕事であり、その負担が応募や定着に影響することは考えられます。
採用しても育成と定着に時間がかかる
人手不足だからといって、採用した人に翌日からすべての仕事を任せることはできません。
未経験者は安全運転や接客、地理、業務用機器の操作などを覚える必要があります。
ハイヤーでは送迎先の車寄せや待機場所、仕事ごとの進め方も重要です。
教える側にも時間と余裕が必要ですが、人手が足りない職場ほどその余裕を確保しにくくなります。
教育が不十分なまま仕事を任されると新人は不安を抱えやすくなり、入社前とのギャップから退職につながる可能性もあります。
採用できた人数と安心して仕事を任せられる人数は同じではありません。
人手不足を改善するには新人が質問しやすい環境や、独り立ちした後も相談できる体制が欠かせません。
仕事の実態や魅力が知られず転職先の候補に入りにくい
否定的なイメージとは別に、そもそも「どのような仕事なのかわからない」という問題もあります。
特にハイヤーは日常生活の中で仕事内容を知る機会が少ない職業です。
- タクシーと何が違うのか
- どんなお客様を乗せるのか
- 未経験からでも働けるのか
こうした基本的なことがわからなければ自分に向いているか判断できません。
例えば事前に予定が決まっている仕事があることや、お客様を探して街中を走る働き方ではないことはハイヤーを知らない人には伝わっていない可能性があります。
また一人で業務を進める時間や落ち着いた接客を好む人にとっては相性のよい仕事になり得ます。
「実際には向いている人が、仕事を知らないために応募していない。」
その可能性を減らすためにも大変さと魅力の両方を具体的に伝えることが大切です。
コロナ禍が人材不足を深めるきっかけになった

慢性的な課題に加えてコロナ禍も人手不足を深めるきっかけになりました。
外出や移動が減った時期に退職や転職が進むと、その後に仕事が戻っても以前と同じ人数で対応することはできません。
厚生労働省の公開事例にも新型コロナの影響による退職やドライバーの採用・確保が難航した状況が記載されています。
一度ほかの仕事に移った人が需要の回復に合わせて戻ってくるとは限りません。
新しく採用した人を育てるにも時間がかかります。
仕事が戻るスピードとドライバーを増やすスピードは一致しないのです。
ただしコロナ禍だけが原因ではありません。
高齢化や勤務条件、採用・育成の課題が重なっているため、人手不足が長引きやすくなっています。
ハイヤーには人数を増やすだけでは解決しない事情もある

担当する仕事によって必要な経験が異なる
ハイヤーには役員送迎、空港送迎、海外からの来賓の移動、観光など、さまざまな仕事があります。
基本となる安全運転や接客は共通していても必要な知識や慣れは同じではありません。
例えば役員送迎では訪問先の車寄せや周辺道路を把握し、予定変更にも対応する必要があります。
仕事によっては語学力が役立つ場合もあります。
そのため会社全体では人数が足りていても、特定の仕事を任せられる人が不足することがあります。
ハイヤーではドライバーの人数だけでなく、どの仕事を担当できるかも重要になります。
専属の仕事では交代や引き継ぎにも準備が必要
専属の仕事ではお客様がよく行く場所や、乗降時の流れ、予定の確認方法などを把握することでスムーズに対応しやすくなります。
担当者が休む際には代わりのドライバーへ必要な情報を引き継がなければなりません。
特定の担当者しか対応できない状態ではその人が休みにくくなり負担も集中します。
そのため普段から代務者を育て必要な情報を社内で適切に共有しておくことが大切です。
人手不足への対応には採用だけでなく、安心して交代できる体制づくりも含まれます。
同じ時間帯に依頼が集中すると人が足りなくなる
ハイヤーはお客様の希望する時刻に合わせて車両とドライバーを用意する仕事です。
朝の送迎が同じ時間帯に重なった場合一人のドライバーが複数の仕事を同時に担当することはできません。
昼間に人員の空きがあっても、その時間を朝の仕事に回すことはできないのです。
これはタクシーにも共通する面がありますが、一日全体の仕事量だけでなく必要な時間帯に何人動けるかが重要です。
そのため待機している車両が見えても別の時間帯には人手が足りないという状況が起こります。
転職を考えるなら業界のイメージより会社の実態を確認しよう
「人手不足だから悪い会社」とは限らない
常に求人が出ていると「入ってもすぐ辞める人が多いのでは」と感じるかもしれません。
ただし募集には欠員補充だけでなく、事業拡大や将来の世代交代に備えた採用など、さまざまな理由があります。
一方で勤務条件や教育体制に問題があり人が定着していない可能性もあります。
求人の有無だけで判断せず、説明会や面接で「今回の募集は増員ですか、欠員補充ですか」と確認してみましょう。
収入だけでなく働き続けられる条件を見る
求人の月収例だけではその会社が自分に合うかは判断できません。
次のような項目をできるだけ具体的に確認することが大切です。
| 確認項目 | 確認したい内容 |
| 給与 | 基本給と手当の内訳、保証終了後の収入例 |
| 勤務時間 | 実際の出勤・退勤時刻、残業の目安 |
| 休日 | 公休日数、休日出勤の頻度、有給休暇の取り方 |
| 配属 | 入社後に担当する仕事、希望する働き方への配属条件 |
| 教育体制 | 研修内容、独り立ちの判断基準、乗務後の相談先 |
| 代務体制 | 担当者が休む際の交代要員や引き継ぎ方法 |
「高収入」「未経験歓迎」という言葉に加えて、どのような条件で働くのかまで確認すると入社後のギャップを減らせます。
世間の評価と自分との相性を分けて考える
職業選びでは周囲の意見が気になることもあるでしょう。
しかし業界に対する一般的なイメージと自分にとって働きやすいかどうかは別の話です。
オフィスで常に周囲と関わる働き方より一人で業務を進める時間がある仕事のほうが合う人もいます。
反対に毎日決まった時間に帰ることを優先したい人には合わない担当業務もあります。
またハイヤーでもお客様への接客や社内での連絡・相談は必要です。
「人間関係がまったくない仕事」と考えてしまうと別のギャップが生まれます。
「世間のイメージだけで避けず、良い面だけを見て飛び込まず、自分が無理なく続けられるかを確かめること。」
それが、転職先を選ぶうえで大切です。
まとめ|人手不足の背景には働く条件と業界イメージの両方がある
ハイタク業界が慢性的な人手不足になりやすい背景には次の7つの理由があります。
- ドライバーの高齢化と世代交代
- 業界に対する否定的なイメージ
- 生活と両立しにくい勤務時間
- 給与の仕組みや収入への不安
- 安全運転と接客に伴う責任
- 育成と定着の難しさ
- 仕事内容や魅力の伝わりにくさ
これらにコロナ禍の影響や特定の時間帯への依頼の集中などが重なっています。
人手不足を改善するには待遇や教育体制を整えるとともに、仕事の実態を正しく伝えていくことが必要です。
イメージだけをよくしても入社後の働き方が伴わなければ人は定着しません。
転職を考えている方は世間の評価や求人の印象だけで判断せず会社ごとの勤務条件を確かめてみてください。
自分に合う会社と働き方を選ぶことが長く続けられる仕事に出会うための第一歩です。
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